インクジェットダイレクトプリントの解説  (その1)

その2  インクを輸入したぞ  へ


 今私がやりたいのは、左の基板を自作することです.ただ、中央のICのパッケージが、0.5mmピッチのTQFP48なのが悩みどころです.サンハヤトの感光基板をつかって、0.5mmピッチの48pinを満足に製作する自信がないんです.

かつて、サンハヤトの感光基板で0.5mmピッチの10pinなら製作したことがあるのですが、足ピンパターンが細くなってしまい、限界を感じたことがあります.

サンハヤトの感光基板方式で0.5mmピッチが難しい理由は、
1) OHPフィルムにレーザープリンタで印刷したフィルムを感光マスクにするんですけど、レーザープリンタの印刷解像度が、かなり限界.私が試みた感触では、 CANONよりもBrotherのレーザプリンタのほうが解像度が良いのですが、そのBrotherであっても苦しかったです.

2) 感光基板を感光マスクで焼くのですが、密着度が悪いとレジストが細くなってしまう.

3) パターン幅が0.2mm以下なので、エッチングで細ってしまう.

困ったなぁと、ネットを検索していたら、最近は、レーザープリンタのトナーを、プリント基板に転写する方式が活況を呈しているようですね.しかし、私が持っているBrotherのレーザープリンタのトナーは、この転写方式に不向きだそうで、使えませんでした.

仮に、このトナー転写方式を採用したとしても、感光マスク密着問題は回避できるものの、0.5mmピッチのパターンをレーザープリンタで印刷する解像度問 題は回避できてません.解像度が優れると思っているBrotherのレーザープリンタが使えないのですから、ますます心配になります.

さらにネットを検索していたら、日本ではほとんど取り上げられてないようなんですが、インクジェットプリンタで、直接プリント基板にマスクパターンを印刷する方式を提唱している人が、海外にいました.
このページは、とても詳しく解説されています.

私は、昨今のインクジェットプリンタの解像度がどのくらい優れているのかを知らないんですが、写真印刷があんなに美しいのですから、さぞ高解像度なのだろうと推測しています.インクジェットダイレクトプリントなら、できそうな気がしてきました.

そこで、インクジェットダイレクトプリントについて、調べてみました.



インクジェットダイレクトプリントの手順

まず、インクジェットダイレクトプリントの主旨は、こういうことです.

●普通のインクだと、銅箔に印刷しても強度が弱いのだが、サードパーティから発売されている特殊な強力インクをつかうと、剥がれにくくなるので、エッチングのレジストとして利用できる.
●EPSONのインクジェットプリンタは、圧電方式なので、インクを選ばない.インクジェットダイレクトプリントには、EPSONだけが適している.
●EPSONのインクジェットプリンタに、プリント基板を挿入しなければならないが、それは、CD/DVDラベル印刷機構を利用すればよい
●大判のプリント基板に印刷するには、プリンタの機構を改造する必要がある.

次に手順を述べます.

●特殊インクが入ったインクカートリッジを、プリンタに装着する.この特殊インクの入手先については、まだ調査できてません.

●EPSONインクジェットプリンタの、CD/DVD印刷用トレイの中央部に、印刷対象のプリント基板を装着する.テープを貼る場所は、プリンタの動作に支障のある穴を避けること.

プリント基板は、あらかじめ、スチールウールとか砂消しゴムで表面を清浄にしておきます.

人によっては、さらにインクの乗りを良くするために、塩酸+過酸化水素で銅の表面をマット紙っぽく荒らすことを奨めている人もいます.トイレ洗剤のサンポールでできないかと思うんだがどうだろうか?








●配線パターンの画像ファイルを用意します.私は、アートワークツールとしてeagleを使いました.左はeagleのexport画面です.重要なことは、分解能を1440dpiにすることです.たぶんプリンタの最高解像度が1440dpiなんでしょう.
















●windowsのペイントというアプリで、exportしたパターンの画像ファイルを開きます.そして、印刷するわけですが、困ったことにexportファイルが背景黒かつパターン白でexportされちゃっているので、ペイントのメニューから、変形→色の反転 として、ネガポジ変換してから印刷しなくてはいけません.印刷画面で、EPSONのインクジェットプリンタの画質についてのいろいろな設定をしてください.プリント基板のど真ん中に印刷するために、余白寸法を適宜調整します.これはきっと試し印刷が必要ですね.

●プリント基板に印刷できたら、次に、ベーキングといって、インクをしっかりと固着するために焼きます.100〜110度で5分間焼くのだそうです.ホッ トプレートでもオーブンでもなんでも良いでしょう.このベーキングという作業を忌避する方もいるかもしれませんが、トナー転写方式のアイロン加熱に比べれ ばこちらのほうが不明確なノウハウに左右されないので簡単だと言えると思います.

●これで、レジストパターンができあがったので、あとはエッチング液で銅箔を溶かせば完成です.

これを読む限りでは、なんか、うまく行きそうな気がするのですが、いかがでしょうか?

ともあれ先立つものは、特殊インクですので、入手できたら、インクジェットダイレクトプリントをぜひ試してみたいと思うわけです.


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release  2010.8
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